おまけが乗っ取る本業

ここ数年「コーヒーの飲める本屋さん」とか「ビールの飲める本屋さん」とか
「イベントを開催してる本屋さん」とか「グッズが特徴的な本屋さん」とかが増えてきた。
最初に企画だけ文面で見た時は単純に「面白いなー」とか思ってたんだけど実際に行ってみると
ただの色物企画じゃねえんだなっていう事を勝手に思った。


下北沢B&Bは「ビールを飲みながら本を読める」っていうとこが売りの本屋で、
夜は8時ぐらいから閉店時間にかけて講演会的なイベントをほぼ毎日やってる。
以前これを見に行ってとても面白かったのでたまにカレンダーをチェックしたいと思ってる。
(これ結構面白いからぜひリンク先の議事録読んでみてほしい)
夕方過ぎぐらいからお店の半分ぐらいのスペースをごそごそ動かすことで
スペースを作ってイベントを店内でやるんだけど、
イベントに参加したい人は入場料を別途で払うのね。
その間も残りのスペースは普通に本屋として稼働してるから飲み物も頼めるし
本も買える。

つまり、この本屋は
1.本を買ってもらう
2.イベントの入場料
3.ドリンク代(だいたいライブハウスとかと同じ値段設定)

この3つで収入を得てるわけ。

本ってまー再販制度っていうややこしい仕組みがあるおかげで
1冊売れたところで利益がすごく少ない商品なのね。
おかげで赤字で潰れる「街の本屋さん」っていうのは少なくなくて、
逆に大手はどんどんでかくなってるっていうのが現状(らしいけど詳しいデータがない)。

同じ小売業でも雑貨屋とかと比べた時に、
同じ時間だけ店を営業してても
物を売った時の利益っていうのが低い商品しかないから当然店としての利益も低い。
さらに言えば商品を自社で改良するとかっていう事もできないし値段も変えられない。
同業他社ならどこ行っても同じ商品が同じ値段で売られてる。


つまり工夫のしようがものすごく限られてるくせに売れたところで割に合わない挙句
売れないと潰れるっていうエクストリーム商売なわけね。
「俺は本を売りたいのにこの仕様じゃ無理ゲーすぎだろ……」って話じゃん。
んじゃーどうすんのかってなった時にやりくりする財布の対象を
「本を売り買いする」部分じゃなくて「俺の財布」にしたのが最近話題になってる本屋なわけ。

「本は赤字でもトータルで俺がやってけりゃいいじゃん」っていうこと。
だから今や本はファミレスでレジの前に売ってるおもちゃみたいに
「到底これだけでペイできるとは思ってない商品」っていう扱いになったんだな。
これ突き詰めちゃうとある種金持ちの道楽みたいになっちゃうかもしんないけど
まーそれでも本屋がやってけるならそれでいいのかもなー。


なんか他の業界でもこういうのがもっと流行っていくのかなーとか思った。